ベトナム語学習者にとって、一番難しい点は発音でしょう。ベトナム語は声調が6つ、母音の数が11もあり、日本語にはない子音も多数あり、発音に苦しむ学習者は多いのではないでしょうか?
特に勉強を始めたばかりの初心者の方は自分の発音ではベトナム人になかなか通じずこのまま続けて大丈夫かなぁと不安になる方も多くいることでしょう。
一方で単語を覚える点に焦点を当てればすると、ベトナム単語は日本人にとって覚えやすいものです。
その一つの理由に漢越語があります。
漢越語とは中国から伝わった漢字を用いて表現できるベトナム語です。
ベトナム語では漢越語はTừ Hán Việt(詞漢越)と呼ばれます。
ベトナムは中国と隣接していることもあり、中国の影響を大きく受けており、13世紀から19世紀にかけて漢文が公式な言語として採用されてきました。
現在ではアルファベットを基本とした文字表記をしていますが、その中にも本来漢字で表記できるものが約6割~7割もの単語があります。
例えばベトナム語の「giải phép」という単語、漢字表記では「解法」と書き、日本語の解法とほぼ同じ意味となります。 giải=解、phép=法と1節ずつ漢字と対応することができます。
この単語のphépをquyết (=決) に置き換えることで、解決を意味する「giải quyết」という単語を作ることができます。
このように1節1節を漢字と対応させることで漢越語を構成されています。
先ほど約6割~7割が漢越語と述べましたが、実際の会話の中で話される漢越語の量は北部と南部で変わります。
北部では地理的にも中国から近いということもあり中国からの影響を強く受けているため、漢語由来の言葉を多く使う傾向があります。
一方で南部では古来のベトナム語を使う傾向にあります。
その為、北部弁でベトナム語を勉強している方は特に漢越語表記でもあわせて覚えることは有効といえるでしょう。
上記の例に挙げた「解」のように、この漢字の読み方を覚えることでほかの漢字と組み合わさった時の意味を推測することができます。
日本語にないベトナム語の熟語であっても漢字の意味から推測することも可能となります。
単語を覚える際に漢字を確認することで、漢字に対応したベトナム語の発音を一つ一つ覚えることができ、ほかの単語と出会った際に役に立ちます。
HNXベトナム語・漢越語ではベトナム語単語に漢字を併記しています。また漢字ごとにその漢字が使用されている単語一覧を掲載しており、一気に単語を覚えられるような構造になっています。